目次
背景ってどうすれば上手くなるの?どうやって練習したらいいの?
「初心者向けのパースの本全然理解できない!」
背景の描き方を勉強しようと初心者向けの本を買ったものの、結局腑に落ちず挫折してしまった…という人多いんじゃないでしょうか。
私も昔、まずは知識から入ろうと「初心者向けの優しいパース講座」みたいな本を買ったことがあります。
しかし当時、
書いてある理屈はなんとなくわかるような気がするけど…実際に解説の通りに描いてみるとどこかが変。
歪んでる気がする。でもどうして歪んでるのかわからない!
というところから先に進めませんでした。
そんな私が自己流で背景が描けるようになって背景アシスタントにまでなった練習の仕方をご紹介します。
何をどう練習したらいいか詰まってしまった方は、ぜひ試してみてください。
パースとか考えない!まずは見たまま模写!
ただ模写といっても考え方ひとつで上達スピードはかなり変わってきます。
模写へのモチベーションについては、上記の記事をぜひ見てみてください。
まずは下手でもたくさん描いてみること。
これを言うと「そういうのじゃなくてお手軽にコツを掴める方法教えてよ!」って思われるかもしれません。
なので何故たくさん描くのが大事なのか説明します。
漫画の背景を描けるようになりたい!と思ってる方は、おそらくキャラクターはなんとなく描けるようになって、漫画のクオリティアップをしたくなった段階なのだと思います。
そんな方は、以前はキャラクターをたくさん練習していたのではないでしょうか?
人物を何枚も描いて少しずつ上手く描けるようになってきたあの感覚。
背景も一緒なんです。
人物の時も、模写してるのに自分の描いた絵はどこか歪んでる気がするな、という感覚は味わったことがある人は多いと思います。
それが何枚も練習しているうちに、筋肉の構造とか勉強していなくても感覚的にうまく描けるようになってきます。
そこでさらに上達したいのであれば、骨格や筋肉構造の勉強に進むという流れではないでしょうか。
あくまで個人的な感覚ですが、背景のパースを学ぶことは人物の骨格や筋肉構造を学ぶことに近いものだと思っています。
なのでまずはパースの勉強よりも前に「なんとなくそれっぽい背景が感覚的に描けるようになること」が先なのです。
たくさん模写して描いているとパースを勉強しなくてもいつのまにか感覚的に「歪んでいない背景」を描くことができるようになってくるので、まずはその段階まで行きましょう。
背景の模写の仕方
キャラクターイラストを描き始めた時のことを思い出してみてください。
全くの初心者の状態でいきなりリアル人間の写真を模写したり、筋肉の構造を意識して描くなんて言われても、どこから線を引いたらいいかわからないしそもそもどこを線として起こしたらいいかもわからない。
それよりシンプルにデフォルメされたコミックイラストや、アニメイラストを模写する方が
簡単に実行できて上手く描けた感覚も掴みやすかったんじゃないでしょうか。
背景も同じ。
最初の練習は、何も考えずにモノクロの漫画の背景を模写するところから始めてみてください。
パースとかは最初のうちは気にしないで、ただ見たまま描いてみる。
最初のうちは、「どこがが変だというのはわかる。歪んでる。どこがおかしいのかわからないけど」
みたいな感じになると思います
最初はそれで大丈夫です。人物の練習の時もそうだったと思います。
キャラクターを何枚も描いてるうちに、あれ?変なところ少なくなってきたかも……上達してるかも。
ってなりますよね。背景も一緒です。
感覚的に描いて、パッと見おかしくないと感じるところまで、模写練習をしてみてください。
ちなみに私は毎日1枚模写練習して、絵に違和感が少なくなってきて
「上手くなってるかも!」と思うまで3ヶ月くらいかかりました。
だからだいたい100カットくらい練習すると変わってくるんじゃないかな?と思います。
(※ もちろん個人差があります)
だんだん、最初はあんなに歪んでて気持ち悪い背景だったのに、
今はなんかそれっぽい!パースとかよくわかんないけど!という状態になってきます。
で、おそるおそるその絵にパース定規を作って当ててみると
結構ちゃんと定規に沿った線になってたんです。
おおー!すごい!あってる!だいたいあってる!!
ずっと模写していると、いつのまにかそれっぽく描けるようになってきます。
この時点 まではパースとか考えなくて大丈夫です。ひたすら模写。
ちなみに模写の時は、鉛筆線(ラフ)だけではなく、
そこからペン入れ、トーン・ベタと最後まで模写しきるのがおすすめです。
その方が上達が早くなると思っています。
窓の影はこういうベタで表現されているんだな、とか
物の影はこういう線で表現されているんだな、など
描いてみて初めて気づくことは多いです。
とくにモノクロ漫画はカラーイラストとは違うので、その感覚を養うためにも仕上げ(ベタトーン)まで模写しきりましょう。
慣れないうちは1枚にものすごく時間がかかると思います。
でも最後まで描く癖をつけてみてください。
上手くできなくても大丈夫です。描いてみるというのがすごく大事。
背景模写にオススメの漫画
少女漫画はふわっとさらっとした、線が抜けている背景が多いので、模写には向きません。
拾う線の判別が難しいです。
かといってデスノートのような精密すぎる背景や、劇画調の線が多い背景を選ぶと心が折れます。
私が当時背景を模写していた作品「To LOVEるダークネス」
私は「To LOVEるダークネス(漫画:矢吹健太朗、脚本:長谷川見沙貴)」の背景を模写して練習していました。
普通に読者として単行本を持ってたのと、
線は綺麗でシンプルなのに、ちゃんと書き込まれててとっても見やすい。
影の描写やトーンなど、模写しているとめちゃくちゃ勉強になりました。
あと可愛い女の子を描く時の練習にも重宝します(笑)
服を着ていなかったり普段見えない体の箇所や体制をしているシーンが多いので
人体の練習や見本にもとてもおすすめです。
作品自体も面白いので一石三鳥ですね。
もちろんこの作品じゃなく、
自分が持っている漫画の中で模写しやすそうな背景があったらそれでOKです。
練習ペースと模写の仕方
できれば毎日。だけど時間的に難しければ週末など空いた時間にまとめて。
少しずつ進めても大丈夫なので、
模写する背景を選んだら、下描き・ペン入れ・仕上げ(ベタ・トーン)
そしてキャラも入っているコマなら人物もそのまま模写してみてください。
「漫画の1コマ」なのでキャラクターがいる部分の背景は見えませんが
そこを想像して、背景全体のアタリをとってからキャラクターを描き込んでみてください。
右から左など、どこか一か所から模写を始めてそのまま進めると最終的にバランスが崩れます。
まずは全体のアウトラインをとり、絵の外側から内側に向かって描き進めてみてください。
最初は納得いかない出来になってモヤモヤします。でも気にしない。
とにかく模写します。最初は練習したという事実だけで十分です。
私の場合は、上で3ヶ月って書きましたが、実際は半年くらい練習を続けていました。
最初の3ヶ月でなんとなく描けるようになって、
あとの3ヶ月でパースの勉強を始めた、という感じです。
何枚も練習していると、感覚で描いた絵が正しいパースをとれてるようになってきます。
そして正しく描けるようになってやっと、
「初心者パース本」に描いてあることがわかるようになってきたんです。
そうか初心者ってここのラインなのか…と当時思いました(笑)
パースなにそれ美味しいの?
アナログだとパースがなんとなく掴めてきてからが本当の練習だと思いますが、
正直デジタルだとクリスタでパース定規簡単に作れるし、
パースの知識がふんわりしていても3Dでカメラワークを作ってしまえば
パース定規が自動で生成されるのでこれ以上の知識はいらないかなって思ってます。
デジタルだと、アタリがなんとなく正しく描けてればあとはパース定規がなんとかしてくれます。
キャラクターイラストと一緒で描き上がったものに違和感がなければオッケーなのです。
どうですか?案外出来そうな気がしてきませんか?
背景を諦めそうになってる人が一歩前へ進める手がかりになったら嬉しいです。