漫画アシスタントエンジョイブログ

漫画アシスタント、初心者未経験では採用されにくい理由

このブログ、結構な頻度で「漫画アシスタント 初心者」や「アシスタント 未経験」の検索で
たどり着く方がいらっしゃいます。

たぶん「初心者歓迎 未経験OKでアシスタントできるのか知りたい」もしくは
その条件でアシスタント先を探す人が多いんだろうなと思います。

このブログではアシスタントは初心者は採用されにくいよ即戦力を求められてるよといくつか書いてますが、
今回はそこらへんをもう少し深く書いていきたいと思います。

初心者の定義

ここでいう初心者は、

「自身で漫画作品を1本も作り上げたことがない人」
「人物イラストが少し描けるだけで小物や背景は描けない人」
を想定しています。

即戦力しか雇ってもらえない現実

マンガアシスタントって、イメージだと作家さんの元で修業を積んだり育ててもらったり…なんて
昔ながらのイメージがありますよね。

昔は確かにあったと思うんですが、最近ではかなり少なくなったんじゃないかと思います。

よくTwitterで作家さんが「コミックス売れないと打ち切りです」
「人気が出なかったのでコミックスは出ません」など言っているのを見かけます。

昨今出版不況(というか普通に不況)のせいで今漫画がどんどん売れにくくなっています。
作家さん側の収入もギリギリな人が多いんじゃないでしょうか。
そんな中、作家さん側に初心者を雇って育てる気力や余裕なんてなかなかないんですね。

「タダでもいい、給料いらないので雇ってください」も好まれない

使えない人を雇うと仕事にならないので結局別のアシスタントを雇う必要があって経費が増えます。
「学びたいのでタダでいいので雇って」というのも、
その人には給料払わなくていいかもしれませんが、
教えるのに作家さんや他アシスタントの時間が奪われる
=経費が増える(他のアシスタントの勤務時間が延びるため)ので好まれません。

作家さんとしては時間がないからアシスタントを雇うのに、
そこに育成する時間をかけなければいけないというのは本末転倒です。

将来的に使える人材に育てればプラマイゼロじゃん!と思う方もいるかもしれませんが、
上でも書いた通り、作家さん側もギリギリです。
将来自分が漫画家を続けられるかわからない状況で、下を育てる余裕なんてないのは想像に難くありません。

だったら経済的に余裕のある売れっ子漫画家さんはどうなのかというと
初心者OKな熱血作家さんなどはまれにいますが、そもそもそんな作家さんに初心者が採用される確率なんて
素人が突然人気ドラマのオーディションを受けに行って受かろうとしてるみたいなものです。
すごく光るものがあって奇跡の採用!なんてそれこそドラマのようなこともなくはないかもしれませんが、
漫画1本も描いたことがないという人が採用されるのはちょっと想像できない…。
そんな現状です。

人気漫画は世に出てる漫画の中のほんのほんの一握り

こう言ってはなんですが、世の中のほとんどの漫画は「世にはあまり知られていない作品」です。

でも
そんな作品たちがあるからこそ、雑誌やサイトやアプリが回るわけで、なくてはならない作品たちなのです。

そしてアシスタント募集の多くがその「世にはあまり知られていない作品」のお手伝いなわけで、
そうすると上記で言った通り作家さん側の収入面や気力や時間の問題で
多くの現場で初心者を育てられる環境ではなかったりするのです。

どうなれば採用されやすくなるのか?

じゃあなにができれば、どうなれば採用されるのか?というと

やっぱり背景が描けると採用率は上がります。

あとは
画力の天井にぶちあたってしまったらスピード・速さを極めるとか
3Dを学んでみるとか

他にも
きちんとした敬語が使えるとか、時間が守れるとか、注意された時に態度を悪くしないとか。

当たり前のことのように見えてできない人は大勢いるので
そんな些細なポイントでもできない人よりはできる人の方が採用されやすいです。

そうやって内面や技術面でも付加価値が増えていけば採用されやすくなります。
小さなことでも、「自分はこれができるぞ!」というポイントを増やしていきましょう。

結局のところ一定水準以上の技術が必要

ちょっと厳しいことを言うようですが、
「初心者未経験だけど漫画アシスタントやるにはどうすればいいですか?」というような人には
画力を上げた方がいいよ、としか言いようがありません。

採用側の気持ちを考えると上手いに越したことはないし
(作家さんの絵柄に合っているという前提で)画力順に採用されていくものです。
採用側が望む絵が描けない人に仕事が回ってくるほど緩い世界じゃありません。

私も普通にちょくちょく不採用になるので画力不足を痛感しています。
日々精進ですね。頑張りましょう!